【中小企業必読】下請法の支払期日とは?トラブルを防ぐために注意点
下請法は、親事業者の優越的な地位の濫用を防ぎ、下請事業者を保護するための法律です。その中でも、下請代金の支払期日は、下請事業者の経営を左右する重要な要素です。
この記事では、下請法における支払期日のルールについて、正しく理解し、適切に対応できるよう、具体的な計算方法や注意点などをわかりやすく解説します。
支払期日を守らなかった場合に発生する罰則や企業への影響についても触れるため、コンプライアンス遵守の重要性を理解しましょう。
【経営者必見】下請法の支払期日とは?
下請法における支払期日とは、親事業者が下請事業者に対して、下請代金を支払わなければならない期限のことです。
具体的には、親事業者が下請事業者から納品物を受け取った日(役務提供の場合は完了した日)から、原則として60日以内、かつ、できる限り短い期間内で定めなければならないとされています。
支払が遅延すると、下請事業者は資金繰りに窮し、事業継続が困難になる可能性もあります。また、親事業者の支払遅延は、下請事業者からの信頼を失い、取引関係の悪化を招く原因にもなりかねません。
親事業者は下請法を遵守し、支払期日を厳守することが求められます。
参考)公正取引委員会「下請法 知っておきたい豆情報 その2」
これで安心!下請法の支払期日と適用ルール
ここからは下請法における支払期日と適用ルールについて解説します。
支払遅延を発生させないためにも、しっかりとルールを把握しておきましょう。
支払期日を正しく計算するためのポイント
支払期日を正しく計算するためには、まず起算日を明確にする必要があります。起算日は、下請事業者が親事業者に納品物を引き渡した日、または役務の提供を完了した日です。
この起算日から60日以内、かつ、できる限り短い期間で支払期日を設定しなければなりません。たとえば、納品日が4月1日の場合、支払期日は5月31日以前に設定する必要があります。
ただし、支払期日を定める際には、親事業者の社内における支払処理サイクルへの考慮が必要です。一般的に、企業では月末締め、翌月末払いといった支払サイクルが存在します。このサイクルに合わせて支払期日を設定する場合には、下請事業者と事前に協議し、合意を得ることが重要です。
支払期日が問題となるケース
支払期日が問題となるケースとして、最も多いのは支払遅延です。
たとえば、親事業者が資金繰りの悪化を理由に、合意された支払期日を過ぎても下請代金を支払わない場合、下請事業者は資金繰りに窮し、経営が悪化する可能性があります。
また、下請事業者に不利な支払条件を一方的に押し付ける行為も問題です。
たとえば、親事業者が、下請代金の支払いを手形で行う際に、手形サイト(現金化までの期間)を不当に長く設定するケースがあります。
公正取引委員会は、2024年11月1日以降、親事業者が下請代金の支払手段として、サイトが60日を超える長期の手形等を交付した場合、下請法の割引困難な手形の交付等に該当するおそれがあるとして、その親事業者に対する指導方針を公表しました。
参考)公正取引委員会「(令和6年10月1日)手形等のサイトの短縮について」
支払期日を守らないとどうなる?
下請法で定められた支払期日を守らないと、単なる契約違反に留まらず、法律違反として厳しい制裁を受ける可能性があります。
ここからは、支払遅延による罰則や企業への影響について解説します。
支払遅延による罰則
下請法に違反する支払遅延があった場合、公正取引委員会から勧告や命令を受けることがあります。勧告とは、違反行為の中止や再発防止策の実施などを求めるもので、命令は、より法的拘束力の強い措置です。
さらに、下請代金の支払遅延に対しては、遅延利息を支払う義務が生じます。遅延利息は、支払期日の翌日から支払日までの日数に応じて、年率14.6%の割合で計算されます。
遅延利息は、公正取引委員会からの勧告や命令がなくても発生するため、注意が必要です。また、悪質な違反行為に対しては、50万円以下の罰金が科せられる可能性もあります。
参考)中小企業庁「下請代金支払遅延等防止法」
支払遅延による企業への影響
支払遅延は、企業にとってさまざまな悪影響をもたらします。勧告を受けると企業名が公表されるため、信用低下は避けられません。取引先からの信頼を失い、今後の取引に支障をきたす可能性があります。
また、企業イメージの悪化は、採用活動にも影響を及ぼします。優秀な人材の確保が難しくなり、企業の成長を阻害する要因となるのです。
さらに、訴訟リスクも高まります。下請事業者から損害賠償請求訴訟を起こされる可能性があり、訴訟対応に時間と費用を費やすことになります。
支払遅延は、企業経営に深刻な影響を与えるだけでなく、企業の存続をも脅かす行為であることを認識し、下請法を遵守し、適切な支払いを心がけましょう。
下請法における支払期日の注意点
下請法における支払期日は、支払方法によって注意すべき点が異なります。
ここからはトラブルになることが多い、銀行振込と手形での支払いに関する注意点を解説します。
銀行振込の場合
銀行振込の場合、支払期日が金融機関の休業日に当たる際は、原則として支払日を翌営業日に順延することが認められます。
ただし、順延期間は2日以内であること、事前に親事業者と下請事業者の間で書面による合意が必要です。
参考)公正取引委員会「下請法 知っておきたい豆情報 その5」
手形等により支払う場合
下請法では、下請事業者が割引を受けるのが困難な手形による下請代金の支払いを禁じています。
公正取引委員会は、手形等による下請代金支払いに関する指導基準を変更し、2024年11月1日以降、サイトが60日を超える長期の手形等交付は下請法違反のおそれがあるとして指導する方針を公表しました。
参考)公正取引委員会「(令和6年10月1日)手形等のサイトの短縮について」
まとめ
支払期日は、下請事業者の経営を左右する重要な要素であり、親事業者は下請法を遵守し、適切な支払期日を設定する必要があります。
支払遅延は、遅延利息の支払い義務や企業イメージの低下につながりかねません。また、銀行振込や手形など、支払方法によって注意すべき点も異なります。
下請法を正しく理解し、下請事業者との良好な関係を築き、健全な取引を実現しましょう。
関連記事
-
クレーム対応の例文を紹介!メール・手紙、電話など手段ごとに解説
クレーム対応は、内容そのものだけでなく「どのように伝えるか」によって印象や信頼の行方が大きく変わります。
特に中小企業では、限られた人員で対応を行うことが多く、担当者ごとに表現がぶれてしまうケースも少なくありません。
本記事では、クレーム対応における基本的なマインドや5つの対応手順を整理したうえで、実際に使えるメール・手紙・電話の例文をシーン別に紹介します。属人化を防ぎ、組織としての対応力を高める第一歩として、ぜひ参考にしてください。
-
個人情報とはどこまで?企業が知っておくべき基本と取り扱いルールを解説
個人情報の取り扱いは、企業にとって非常に重要で、適切な管理と保護が不可欠です。とくに中小企業では、法律への理解や管理体制が不十分なまま業務を進めてしまい、思わぬトラブルに発展するケースもあります。
この記事では、個人情報に該当する情報の範囲や取り扱いルール、漏洩時のリスクと対応策をわかりやすく解説します。適切な知識を身につけ、法令違反や信頼低下を未然に防ぎましょう。
-
モラルハラスメントとは?企業が知っておくべき定義・事例・防止策を弁護士が解説
-
業務監査とは?目的・監査範囲・会計監査との違い・チェックリスト例
「業務監査」という言葉を聞いたことがあるものの、具体的に何をやるのかよくわからない、という方もいらっしゃるでしょう。また、業務監査を実施することでどのような恩恵があるのか知りたい方も多いはずです。そこでこの記事では、業務監査の目的や会計監査との違い、業務監査を実施する際のチェックリスト例や注意点などについて、わかりやすく解説していきます。
-
サービス残業は自主的であっても違法の可能性あり!黙認や常態化のリスク
「うちの社員は自主的にしているからサービス残業も問題ない」という認識は非常に危険です。
たとえ本人の意思による行動であっても、実質的に業務遂行上必要不可欠な残業や、会社が黙認・推奨しているとみなされる場合は、サービス残業が違法となります。
サービス残業の黙認や常態化は、法的な罰則だけでなく、従業員のモチベーション低下、企業イメージの悪化、そして将来的な訴訟リスクにつながる重大な問題です。
この記事では、自主的なサービス残業がなぜ違法となり得るのか、そしてそのリスクと具体的な対策について、わかりやすく解説します。

マモリノジダイとは
会員登録







